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2004/05/30

Mboxを買っちゃった2(基礎編)

以前の記事で紹介したように、購入したもののいろいろな雑用にじゃまされてセットアップがなかなか進まなかったMboxをやっとの事で試してみたので軽くレビューしておこう。

Mboxとはなにか知らない方のためにちょっと紹介しておくと、digidesign社のProTools LEというソフトのためのパッケージの一つである。
ProToolsとはマルチトラックサウンドレコーディング環境をコンピュータ上で実現するために必要な機能が統合されたオーディオワークステーションソフト(DAW)というジャンルの製品だ。
昔はレコーディングというとテープを回してマルチトラックなどのレコーディングしていたものだが、テープの代わりにハードディスク上に記録して録音、ミックス、MIDI処理、編集、マスタリングなど必要な処理を行うソフトがProTools LEである。
ちなみにハイエンド版のProTools HDはサウンドをリアルタイムで録音再生するための専用ハードウェアが必要でシステムにするとかなり高価なのだが、現在発売されているCDの多くがProToolsで制作されていることからも音楽制作のためのデファクトスタンダードであることがわかるだろう。
そんなProToolsシリーズの廉価版がProTools LEなのだ。
ProToolsLE001

ProTools LEは廉価版とはいうものの専用のハードを必要とせず、MacやPCのCPUパワーだけでリアルタイムの録音再生を行うためコストパフォーマンスに優れ、機能も十分であることからプロにも人気の製品である。
専用のハードを必要としないと書いたものの、サウンドをコンピュータに取り込むためのオーディオインターフェースは必要でソフトだけで販売されていない。
ProTools LEに2chのアナログ/デジタル(S/PDIF=いわゆる普通のデジタルインターフェース、MboxはRCAピンタイプ)USBインターフェースがセットされたものがMboxである。
mboxbig
その他に2Uラックマウントサイズの8アナログインプット+ADAT(8ch)+S/PDIF搭載FireWireインターフェースがセットされたDigi 002 Rack。
digi002rack_big
Digi 002 Rackの機能にオートメーションフェーダーを加えたミキサータイプのDigi 002の3種類がある。
002topbig
通常パーソナルなレコーディング環境ではMboxで十分である。

Mbox本体にはキャノン仕様のファンタム電源付きマイク/ライン入力、フォン入出力、S/PDIF入出力を備えている。
キャノンはフォン端子とのハイブリッドとなっているためギターなどのインスツルメンツも直接入力することが可能だ。

ProTools LEのパッケージには7枚のディスクが付いている。
MacOS X Jager用、MacOSX Panther用、そしてWinndows XP/2000用のディスクにプラスしてFactoryと書かれたオマケのプラグインが入ったCD。
さらにはギターアンプシミュレーターAmpliTube、ソフトウェアサンプラーSampletonk、真空管EQシミュレータT-Racks、ループシーケンサとして有名なLive!、 革新的なシンセサイザー、サンプラー、エフェクターのバーチャル・ラックREASONといった4種類の機能限定版も付属する。(デモ版ではないが機能が限定されたいる)
インストールはそれぞれのOSに対応したCDから行うが、ProTools LEのインストーラーにはいろいろなデモ版のソフトも含まれるためインストーラ上でデフォルトで選択されているもの以外にチェックを付けないようにしよう。
よけいなソフトをインストールするとProTools LE起動時に「登録しろ登録しろ!!」とダイアログボックスがでまくる羽目になってしまう。(私はここでかなり悩んでしまった・・・どれがオマケでどれがデモ版かが解り辛い!)

Factoryと書かれたCDにはオマケのプラグインとともにiLokというUSBに挿すドングルが付いてくる。
iLokとは現在対応するメーカーが増えている認証キーの方式で、従来特定のハードだけにインストールが許されていたソフトを複数のハードにインストールすることが可能となる画期的なシステムである。
iLokはUSBのドングルと、そのドングルに挿すメモリーカードで構成され、認証された製品は認証キーがメモリーカードに記憶される。
これによって同時に使わないのであれば複数のスタジオ共用で、ProTools LEにプラグインをインストールしておくことが可能になる。
Factoryに含まれるドングルにはオマケで付いてくるプラグインの認証キーがあらかじめ含まれているのでメモリーカードは必要ないが、Factoryをインストールした人はiLokを挿すのを忘れないようにしよう。

購入時点digidesignのサポートページにはProToolsの最新版6.4がアップされているので、ダウンロードしインストールしなければならない。
MacOSX 10.3.2対応だが私の10.3.4環境では今のところ問題もなく使用できている。
これでイントールは完了だ。

余談ではあるがDigidesign CoreAudio Driverをインストールすると(digidesignのサポートページには最新版の6.4がアップされている)iTunesやGarageBandもMboxから再生することが可能になる。
試しにiTunesで鳴らしてみたところ見た目のライトさとは裏腹に結構厚みのある重厚な音色なので驚いた。
DigidesignCoreAudio
PoweBook G4 1.25GBにインストールした後、ProTools LEを立ち上げ、付属してきた26chのサンプル曲を鳴らしてみたところやはり結構重いのか途中で止まってしまう。
しかし設定メニューから[プレイバックエンジン]を選択し[H/Dバッファサイズ]でバッファのサイズを1024に、DAEプレイバックバッファーをレベル8に増やしてやると順調に再生するようになった。(そこまでバッファを増やす必要はないのかもしれないが、バッファはプラグインをいくつ使うかでも変化するため定かではない。とりあえず使って問題のない範囲で増やしておこう)
またProTools LEでは録音再生に内蔵ディスクを使用するのを推奨していないので5インチでなるべく高速なFireWireの外付けディスクを用意する必要があるようだ。
とりあえず私はライブの現場で仕事仲間のDigi 002 Rackインターフェースに加え8chインターフェースにADA7000(ADATインターフェースとしてDIF-AT24を使用)を接続して、外付けのFireWireハードディスクに16chのリアルタイム録音を試みた。
2時間少々のライブをPAアウトからグループその他で16ch取り出してレコーディングしてみたところ、ライブ終了直後にアシスタントがProTools LEのGUIを触ったら止まってしまった。
全くテストをせずに負荷のかかるライブレコーディングなどやるものではない(^_^;)ということを思い知らされ危機一髪ではあったもののノンストップで完璧にレコーディングすることができた。
録音した素材は自宅のMboxでトラックダウンできる。
実際にプラグインエフェクターなどをインサートしてみたが、いずれもリアルタイムでも順調に動作する。
Mboxは6万円以上するので高いと思う人もいるかもしれないが、デッキ、ミキサー、各種エフェクターといったハードウェアを個別に用意すると安く見積もっても数十万円かかることを考えるとPowerMac G5+FireWireHD+Mboxを一から購入しても安いのでは無かろうか?
ProTools LE恐るべし!

なんか長くなってしまったので本日はここまで。
オートメーションミックスやプラグインの具合など使い心地は後日ということにしよう。

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