LOVEはどうやって作られたのか?
本日はジョン・レノンの命日です。
メンバーのうち2人が亡くなってしまったThe Beatlesですが、つい先日LOVEという新譜が発売されました。
LOVEに関しては賛否両論で意見が分かれています。
例えばSun Kingのコーラスパートを逆回転してGnik Nusというタイトル付けたりしてるわけですが「それは曲とはいわねーよ!」とも思ってしまうものも中にはあるわけですが、元々シルク・ド・ソレイユのショーのサウンドトラックとして作られたことを考えるとショーの構成に必要な曲なのでしょう。
音楽的なことは別にしてLOVEは技術的には凄いことをやっています。
Beatlesは元々4トラック〜8トラックのテープレコーダーで録音されています。
例えば4トラックのレコーダーの通常の使い方2トラック使ってオケを録り、残りの2トラックでコーラスとボーカルを録るというのが普通なのですが、Beatlesはドラムやベースといった楽器だけ録音したらそれらをミックスして別のテープにコピーすることで少ないトラックでも複雑な多重録音をを行っていました。
2台のテープレコーダーでトラックがいっぱいになったらレコーダーにミックスしてコピーすることでトラック数を稼いでいたわけですね。
こうした作業をすることで、あるテープにはドラムだけが、あるテープにはコーラスだけが・・・というように途中経過のテープが沢山溜まってアビーロードスタジオに保管されました。
これらのワークテープを全部デジタルに変換し、ハードディスクにぶち込みます。
そして波形を解析して、丹念にさまざまなノイズを除去し、音質を向上させ、まるで現代のテクノロジーでレコーディングしたかのような音質をよみがえらせています。
こうして音質が良くなった素材をミックスするわけです。
I Want To Hold Your Handのオリジナルは右にドラム、左にギターというような今では不自然と感じるミックスでしたが、LOVEでは違和感なく聞けるミックスになっています。
こうしたミックスは過去にYellow SubmarineやLet It Be.Nakedで行われた手法ですが、LOVEではさらに一歩進んで5.1サラウンドまで実現されています。
そして複数の曲の組み合わせて新しいテイストの曲にミックスし直すという荒技にも挑戦しています。
テンポやピッチをいじって、異なる曲同士をミックスするわけです。
例えばTomorrow Never Knowsの強烈なドラミングにWithin You Without Youのボーカルを重ねてハードな曲にリミックスしています。
「Beatlesをそんな風にいじくっていいのか?」という議論にもなるわけですが、ポールも、リンゴも、オノ・ヨーコもOKしているわけですからいいのでしょう。(笑)
ここまで来ると、音楽製作と言うより考古学の方が近いのではないでしょうか?
製作に7年かかったというのが分かります。
何はともあれBeatlesの素材達はハードディスクに入っているわけで、今後何を生み出してくれるのか楽しみなところですね。
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